twitter
 以前、NHKで『新富裕層vs.国家~富をめぐる攻防』という番組が放映されていました。富裕層が納税を免れるために海外へ逃げ出し、日本の税収が減っている問題です。今、日本の新富裕層が向かうのは、税負担が日本の半分以下であるシンガポールなのだそうです。何台もの赤いフェラーリがつるんで走っている映像や、オーシャンビューでプール付きの豪邸が、新富裕層と呼ばれる人たちの富を象徴していました。『働かず怠けて暮らしている人々のために、高額な税金を払うことに我慢できない』といったコメントも印象的でした。世の中に何の付加価値も生まないマネーゲームも『働かず怠けて暮らしている人々』と同類です。金融活動は、世の中の更なる発展や成長にお金を回すことに意義があります。本来営利を目的としてはいけません。

 誠実に働き実体経済の成長に貢献する労働者よりも、投機的に資本を右から左に動かす投資家が富む時代です。まさに現代の歪んだ資本主義経済の問題と言えるでしょう。このまま進んでも人々の幸せにつながらないのは明らかです。富を再分配し、社会の公平性を守る国家とはどうあるべきなのか、今世界的に問われています。

 税金を取られるより、使ってしまった方がいいと気前のいい社長さんがいますよね。そういった税制が理想的です。また、消費や所得に課税するより、お金の循環が活性化するよう、過剰な貯蓄や内部留保に課税する仕組みが強く望まれます。法人利益も、お金に困らない資本家に回すより、そこで働く従業員に還元した方が、お金の循環がより大きく広がるでしょう。

 お金の循環を血液に例えるなら、全身に血液を送り出すのは心臓機能の役割です。政府は、過剰な富の蓄積に制限を設ける責任を、一刻も早く引き受けることに期待します。